甲状腺の病気と治療

橋本病

1.橋本病とは

橋本病は「慢性甲状腺炎」ともいわれますが、この炎症は細菌が入り込んで化膿するといったものではなく、「自己免疫」の異常が原因で起きます。顕微鏡でみると甲状腺にリンパ球がたくさんあつまっています。橋本病はとくに女性に多くみられます。
橋本病であっても、甲状腺機能が基準値内にあれば治療の必要はありませんが、甲状腺機能の低下がある場合には甲状腺ホルモン剤の補充が必要です。

2.橋本病の症状

甲状腺の腫れ(甲状腺腫)

橋本病では、くびが太くなって見えることがよくあります。これは甲状腺がはれて大きくなっているためです。橋本病の場合は、このはれ(甲状腺腫)で見つかることが少なくありませんが、甲状腺腫の大きさは、小さいものから、見ただけではっきり分かるものまでさまざまです。バセドウ病の甲状腺腫と似ていますが、橋本病の方が比較的硬く、表面がゴツゴツしているものが多い傾向があります。

正常な甲状腺
びまん性甲状腺種

甲状腺機能低下による症状

甲状腺機能低下症とは、血液中の甲状腺ホルモンが不足した状態をいいます。
甲状腺腫があるだけでほかに身体的にまったく異常がない場合には、橋本病であることにまったく気づかずに生活していることが少なくありません。また、甲状腺腫が大きいからといって機能低下が著しいとは限りませんし、甲状腺腫は目立たないのに著しい甲状腺機能低下が見られることもあります。
甲状腺機能低下の症状には、次のようなものがあります。

症状
  • むくみ
  • 皮膚の乾燥
  • 寒がりになる
  • 食欲がないのに体重が増える
  • 脈がゆっくり静かになる
  • 無気力になり頭の回転が鈍くなる
  • 月経の異常

などで、心臓病・腎臓病・肝臓病と間違われることもありますが、無気力になったり、逆にいらいらなどの症状が見られ、更年期障害や老化現象と間違われることもあるようです。

注意したい橋本病をもとにした病態

無痛性甲状腺炎 甲状腺に蓄えられている甲状腺ホルモンが血液中に大量にもれ出てくるために、一時的に甲状腺ホルモンが過剰になり、動悸や息切れなどバセドウ病と紛らわしい症状が出ることがあります。甲状腺の痛みはなく「無痛性甲状腺炎」といいます。長くても4ヶ月~半年くらいで自然に治ります。
橋本病の急性憎悪
(ぞうあく)
甲状腺が急に大きくなり、一部が痛んだり熱が出たりすることがあり、これを「橋本病の急性憎悪」と呼んでいます。甲状腺ホルモンが一時的に漏れ出して、動悸や息切れなどの甲状腺機能亢進症の類似症状が出ることもあります。

3.検査

血液検査

血液中の甲状腺ホルモンと「甲状腺の組織成分に対する抗体」(自己抗体)、甲状腺の超音波検査で診断します。

4.治療方法

治療とその効果

甲状腺機能低下症になった場合の治療は、体で分泌できない分の甲状腺ホルモンを甲状腺ホルモン薬で補います。血液検査をしながら、適した薬の量を決めて飲み続けます。この薬は体内のホルモンと同じですので、副作用はありません。※高齢者や心臓に病気のある人、機能低下が著しい人は、体への負担を減らすために少量から服用を始め、慎重に増量します。
甲状腺腫は、ある程度小さくなる場合もありますが、そのまま残ることが少なくありません。ただし、甲状腺腫の大きさだけで機能低下症があるとか、機能低下症が著しいということはありません。
なお、服用を中止してしまうと、機能低下の状態に逆戻りしてしまい、また少量から服用を始めなければなりません。サプリメントや食べ物の一部だと割り切って服用を続けてください。

5.日常生活

日常生活

甲状腺機能低下症の程度が著しい場合には、回復するまである程度の安静が必要です。しかし、甲状腺機能に異常のない人や、薬によって甲状腺ホルモン濃度が正常になっている人は、日常生活上で制限することはなにもありません。

甲状腺の病気とヨウ素

橋本病に限らず甲状腺の病気の人は、海藻類を食べてはいけない、逆にたくさん食べるのがよい、などといわれることがあります。これは海藻類に多く含まれるヨウ素が、まれに甲状腺に影響をあたえる場合があるからです。
橋本病の人が大量にとりつづけると、時に甲状腺機能低下になって甲状腺腫が大きくなることがあります。ヨウ素は甲状腺ホルモンの材料であるため、ある程度の量は誰でも必要ですが、日本の日常的な食事ではとくにヨウ素不足を心配することはありません。

妊娠・出産について

橋本病が、不妊の原因になる、知能の発達に障害のある子どもが生まれる、治療薬が胎児や母乳に影響する、などといわれることがありますが、これらは間違いです。橋本病であっても甲状腺機能が正常であれば、健康な人と同じように妊娠や出産ができます。
また甲状腺機能低下症の人でも、甲状腺ホルモン薬により血液中の甲状腺ホルモン濃度が正常になっていれば問題ありません。甲状腺ホルモンはもともと人が甲状腺で合成しているホルモンと同じものですので、妊娠・授乳中に服用してもまったく差しつかえありません。妊娠中は甲状腺機能をきちんと管理することが勧められています。妊娠を考えている方は早めにご相談いただけると安心です。

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